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『夜市』(さみ)

こんにちは。LS3年のさみです。
 
今回ご紹介するのは、恒川光太郎著『夜市』です。
この作品は、中編小説集であり、和風ファンタジー小説が二篇収録されています。
本作のオススメポイントは、「こんな世界が、私たちの日常のすぐ隣にも存在するかもしれない」と感じさせてくれるところです。
 
表題作である『夜市』は、妖怪たちが様々な品物を売る不思議な市場「夜市」が舞台となります。そこでは、望むものが何でも手に入るとされていますが、一度足を踏み入れたら、何かを買うまで出られないという恐ろしい場所でもあります。
主人公の友人は、小学生の時に夜市に迷い込み、自分の弟と引き換えに野球の才能を買いました。そして、弟を買い戻すため、再び夜市を訪れます。
果たして、友人は弟を買い戻し、無事に夜市から帰れるのか?
そんな一夜の物語です。
 
もう一篇の『風の古道』は、小学生二人が、「古道」と呼ばれる不思議な世界を訪れるお話です。
そこで出会った不思議な青年と共に、二人は古道からの出口を目指して旅をします。
夏休みの間の、不思議で小さな冒険譚です。
 
この二篇に共通する特徴として、読者に近い「無知」の状態である主人公の視点から描かれている点があります。
そのため、夜市や古道といったものが、「当たり前」として描かれるのではなく、主人公にとっても未知で不思議な世界として描写されます。そのため、読者が置いていかれることなく、主人公と同じ視点で不思議な世界を体験することができるのです。
 
このように、『夜市』は予備知識不要で、気軽に楽しめるファンタジー小説です。
みなさんも、「どこかにあるかもしれない」と思ってしまうような不思議な世界に、手ぶらで飛び込んでみませんか?

『夜市』

恒川光太郎 [著]  2008年

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