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『アメリカン・ブッダ』(園田)

はじめまして、芸術学科1年の園田です。
 
これを読んでいるあなたはおそらくこう思っているでしょう。
「今すぐSF小説が読みたい!」と。
お任せください。
SF好きも、SFってなんの略?という方にもおすすめの一冊を紹介したいと思います。
そこで今回ご紹介するのは柴田勝家著『アメリカン・ブッダ』という全6篇の短編集です。
 
まず、SFって世界観が苦手、という声をよく耳にします。
映画『マトリックス』と『ブレードランナー』の違いも分からないのに文章だけで理解できるはずがないとお思いの方もいるでしょう。
しかしすべてのSF作品が、特注電脳空間(サイバースペース)に没入(ジャックイン)して、脳に埋め込まれた微細処置装置(マイクロプロセッサ)からの指示を待っているわけではありません。
SF小説を読むためには、まずはそのような堅苦しいイメージを捨てることが必要です。
 
作者の柴田氏はここ成城大学で民俗学を学ばれた経験があり、その知識をもちいながら現在も執筆をなさっています。
柴田氏の民俗学の観点から生み出される世界は、その土地の空気感が分かるほど巧みに構成されており、まるで『るるぶ』を片手に小旅行をしているような気分で読み進めることができます。
また『アメリカン・ブッダ』には、各短篇がSF要素の強いものから民俗学要素がメインのものまで幅広く収録されています。
まずは民俗学要素の多い「邪義の壁」を読んで柴田氏の世界観を味わい、SF好きの方はSF要素がたっぷりの「雲南省スー族におけるVR技術の使用例」を最初に読むなど、自由な読み方をできることがこの本の魅力でもあります。
 
あなたも『アメリカン・ブッダ』を読んでSF好きの仲間入りをしてみませんか?
SF好きの方は今後のより良いSFライフのためにぜひ読んでもらいたいです。

『アメリカン・ブッダ』

柴田勝家著 2020年

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