from LS
『心淋し川』(今井)
LS1年の今井です。おすすめしたい本は、「心寂し川」です。
江戸、千駄木町の一角は心町(うらまち)と呼ばれ、そこには「心淋し川(うらさびしがわ)」と呼ばれる小さく淀んだ川が流れている。
その川の側に建つ古びた貧乏長屋。そこに住む人達もまた、人生という川の淀みにはまり、もがいていた。
町から逃げたい若い娘、行き場のないおかめな妾達、責任から逃げ出した料理人、子離れできない母親、素直になれない妊婦、過去に縛られた老人……。
江戸時代を舞台に、吹き溜まりのような町で、過去を悔やみ、境遇を恨みながらも1日1日をなんとか生きてゆく人々が織りなす短編集。
まるで細い川のように、行き詰まったり、時に澱んだりしながらも、それでも着実に前へ進んでいる。どんなに苦しくても、最後はほっと息をつけるような一筋の希望を見せて終わる、そんな暖かい話ばかりだ。
時代小説だからと恐るるなかれ!私たちと生きる時代が違えど、登場人物もまた、私たちと同じように生き方に迷い、もがく。されど、人情に支えられて進んでゆく。
直木賞の候補作にもなった名作を、じっくり時間を掛けて読んでみてはいかがだろうか。
頑張るあなたの背中をそっと押してくれる、そんな一冊。
『心淋し川』
西條奈加著 2020年
請求記号:913.6/SA19u
登録番号:Y342250
バーコード番号:001699672/
配架場所:共通教育研究センター
登録番号:Y342250
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